第1章 丁稚のころ その2
ここで翁の祖先について記す必要がある。
翁の祖先は伊勢松坂藩で槍術の指南番であった。
しかるに先々代、東(あずま)市兵衛の時、故あって町人となり同じ松坂出身の三井家に仕え、その才腕を認められ主人名代役にまで昇進せられたのである。
三井高利像(出典 松阪市所蔵より一部抜粋)
翁が東氏を名乗らずに木村の姓を継いだのは先に誌(しる)したように実母に伴われて、母方の木村姓を継がれたからである。
幼い秀蔵にとって幼時に受けた実父との生別、一家の窮乏は全生涯を通じて忘れ難いものであった。
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東京都在住 矢竹 考司この木村