第10回
第3章「坂越工場の建設」 その1
当時の事情を知る為に、ライオン歯磨工場技師 松野恵蔵氏の談話を掲げよう。
明治の創業当時の ライオン歯磨 神田店舗
出典『ライオン歯磨き80年史』(ライオン歯磨刊 昭和48年版)
『私の入社当時は、炭酸カルシウムも炭酸マグネシヤも舶来品で主として英国製品であった。炭酸カルシウムはあたかもビヤ樽のような大きな樽詰として輸入され、炭酸マグネシヤは日本の豆腐を二つ繋ぎ合わせた位の大きさの長方形の塊で、これを大きな木箱に入れて輸送された。
この炭酸カルシウムと炭酸マグネシヤを一つ一つ試験して合格品にあらざれば一切使用せざることにした。処が英国品は総じて優良のものならんと思って居ったが、中には不適品もあったには驚いた。
この木村秀蔵伝記は、2023年3月17日からアマゾンから書籍とキンドル版で発売されます。今後はそちらでご覧ください (企画 東京都 矢竹考司)